2013/5

物性基礎論コロキウム


Decision-Making and Fluctuation
in Foraging Behavior of Ants



講師: 西森 拓
(広島大学・理・数理分子生命理学専攻)
日時:5月28日(火)15:00より
場所: 物理学科第三講義室 (2249号室)
(九州大学 箱崎キャンパス 理学部2号館2階)
要旨: アリはハチの祖先から進化し、個々の構造や振る舞いを単純化させる一方で、 コロニーとしての協調行動を複雑化させ、現在地球上のほとんどの地域で 繁栄を謳歌している。我々は、アリの採餌行動に着目し、トビイロケアリに関する 実験と数理モデリングを行ってきた。

 実験では、トビイロケアリの採餌行動が、これまで広く知られている、化学走 性だけでなく、視覚情報や記憶にも依拠し、これら複数の因子の精妙な組み合わ せで行動決定を行っていることが分かってきた。

 また、数理モデルでは、アリの化学走性にゆらぎ(エラー)の効果を付与し、採 餌効率とゆらぎの関係を調べた。その結果、給餌環境に応じて、「最適集団採餌 戦略」が、同等のエラーをもった「一様集団戦略」から、高いエラー率をもった アリとエラーがほとんどないアリからなる「2極分化戦略」に鋭く転移すること がわかった。

 以上の結果について、解析や解釈も含めて説明していきたい。

  1. H.Nakagawa, T.Tao, S.I. Nishimura, A.Awazu and H.Nishimori "Diverse Stochasticity Leads Colony of Ants to Optimal Foraging”(2013) preprint
  2. 荻原悠佑,秋野順治,西森拓:'アリの集団採餌における方位情報の選択と切り替え' 計測と制御 53, 201-207(2013)
連絡先: 物理学部門 坂上 (ex.2567)