講師: | 大信田 丈志 氏 鳥取大学 工学研究科 |
日時: | 1月25日(月)16:30より |
場所: |
物理教室 第3講義室 (2249号室) (九州大学 箱崎キャンパス 理学部2号館2階) |
中原効果の微視的メカニズムは未解明であるが、巨視的な理論と して、弾塑性流体モデルによる残留張力理論[2]がある。 今回の セミナーでは、この理論について、基礎となる弾性論の話から始めて、 なるべく丁寧に説明する。
弾性論の標準的な解説は、2階のテンソルどうしの比例関係に着目して 4階のテンソルを導入する形で展開されるせいもあって、どうしても、 ある種の分かりにくさがつきまとう。 セミナー前半では、弾性論に 関する誤解のひとつの典型例[3]を紹介し、どこがどのように間違って いるか、正しくはどうあるべきかを議論する。 後半では、非線形 弾性論に塑性を導入することでペーストの連続体モデルを構築し、 中原効果と整合する結果が得られることを示す。
[1] Nakahara and Matsuo: J. Phys. Soc. Jpn. 74 (2005) 1362;
同: J. Stat. Mech. (2006) P07016;
同: Phys. Rev. E 74 (2006) 045102.
[2] Ooshida: Phys. Rev. E 77 (2008) 061501;
同: J. Phys. Soc. Jpn. 78 (2009) 104801.
[3] 仲座栄三: 琉球大学工学部紀要 61 (2001) 37;
仲座栄三:「物質の変形と運動の理論」(ボーダーインク 2005).